牛乳 ++ぎゅうにゅう++
///牛乳///
乳牛の乳で特有のにおいと味をもち栄養価が高く、普通の乳牛からは1日に36リットルくらいがとれます。平均して水分88.6%、脂肪3.3%、タンパク質2.9%、炭水化物4.5%、無機物0.4%で、タンパク質の約80%はカゼイン、炭水化物は乳糖を主とします。カルシウム、カリウム、リン、鉄等、およびほとんど全種のビタミン、必須アミノ酸を含み消化もよく、180ミリリットルで1日に必要なカルシウムの1/3をまかなえます。
牛乳は熱を加えると、上部にクリームができ、これを攪拌するとバターになります。残りは脱脂、乳清、乳漿などと呼ばれ、チーズやヨーグルトなどの原料になります。
飲用牛乳は食品衛生法により〈牛乳〉〈加工乳〉〈乳飲料〉の3種に分けられています。
●牛乳・・・殺菌と均質化を行って脂肪率が3.2%程度になるよう標準化したもの。成分無調整乳。
●加工乳・・脱脂粉乳等から再組成される還元牛乳を利用したもの。脂肪分を多くした高脂肪乳や少なくした低脂肪乳(ローファットミルク)など。
●乳飲料・・主として脱脂乳にコーヒー、果汁、甘味料などを加えたもの。牛乳という名称は用いない。
日本史に初めて牛乳が登場したのは、大化の改新ごろ唐の帰化人が考徳天皇に牛乳を献上したことが記されています。当時はあくまでも薬として扱われていましたが、奈良、平安時代と進むにつれ、牛乳を飲む特権は天皇から貴族へ、さらに地方の豪族に広まっていきました。当時の乳製品の主なものは以下のような名称で表されています。
●酥(そ)・・・・牛乳を約1/10に煮詰めた、コンデンスミルクのようなもの。
●酪(らく)・・・現在のバターのような脂肪を集めたもの。
●醍醐(だいご)・乳製品の最高に美味なものとして喜ばれた今のチーズにあたるもの。「醍醐味」という言葉はここからきています。
このように栄養食品として大切にされてきた牛乳ですが、平安時代後期、仏教の肉食禁止思想の影響を受けて、人々はだんだん牛乳を飲まなくなっていきました。再び牛乳が見直されたのは、明治の文明開化からです。明治中期からは全国各地で酪農業が盛んになって、特に北海道で基幹産業のひとつになりました。戦後になって国民の栄養状態の悪化を改善するために、牛乳ブームが沸き起こって需要は急増していきました。今日、牛乳は日本の食生活に欠かすことのできない食品のひとつになっています。
牛乳の容器は、年を追うごとに大きく変わっています。明治初期は大型のブリキ缶に入れた牛乳を量り売りしながら各々の家を回り、明治14年には宅配用の小型缶に変わりました。明治30年になるとガラス瓶が登場して、現在でも一部の配達用牛乳の容器として使用されています。戦後の包装容器の主流は紙パックです。昭和30〜40年代までは四面体のテトラパックが採用されていましたが、スーパーマーケットの普及や冷蔵庫の大型化、性能向上で直方体のピュアパックが広く普及しました。現在日本で発売されている牛乳の85%が紙容器のピュアパックで、瓶は12〜13%、残りが業務用とプラスチックボトルです。瓶にせよ紙パックにせよリサイクル率が高水準であることも、牛乳容器の特徴です。
///粉乳///
牛乳を乾燥し粉末状としたもの。原料の相違で(水分のみを除いて粉末状とした)全脂粉乳と、(脂肪を除いて粉末状とした)脱脂粉乳(脱脂乳)とがあります。前者には15%ほどのショ糖を加えた加糖粉乳、乳糖・ビタミンなどを加えて育児用にした調製粉乳に分かれます。脱脂粉乳の無糖は化粧品などに使われます。
製法には下記の二通りあります。
(噴霧式)120〜150度に加熱した蒸発室の清浄空気中に濃縮原料を霧状に噴出すると乾燥・粉末化して落下
(円筒式)熱い円筒に巻き付けて1回転しているあいだに乾燥したものを落として粉末にする
///脱脂乳///
脂肪分を抜き取った牛乳で、粉末にしたスキムミルクが一般的。ローカロリーのため、ダイエット用に飲用したり、パン、菓子、乳酸菌飲料、アイスクリーム等の製造に用い、またカゼイン、乳糖、脱脂チーズ等の原料や化粧品の材料にもなります。
///練乳///
加熱した牛乳を真空釜で濃縮して缶詰などにした加工乳の一つで、加糖と無糖があります。(その他に「加糖脱脂練乳」もあります。)
エバミルク(無糖練乳)evaporated milk
エバポレーティド・ミルクの略。牛乳を1/2程度に濃縮・殺菌。牛乳を濃縮した練乳のうちショ糖を加えないものをいい、コーヒーに添加したりする。
コンデンスミルク(加糖練乳)condensed milk
牛乳に16〜17%のショ糖を加えて加熱し、1/2.5程度に濃縮。製品中のショ糖濃度は40〜45%になり、保存性が高い。イチゴやかき氷、紅茶などに添加したり製菓材料に。