唐菓子 ++とうがし++
大陸文化を吸収するために遣唐使が派遣されるようになると、多くの進んだ文物制度がわが国にもたらされるようになりました。そのうちの一つが唐菓子です。唐菓子の流入は次第に増加し、奈良時代には8種類の唐菓子と14種類の果餅が挙げられています。
------唐菓子------
1梅枝(ばいし)
2桃子(とうし)
梅の枝、桃の枝に模して米粉の餅をゆでて形を整え、油で揚げたもの。枝の形によって二梅枝、三梅枝があります。
3かっこ
古くからの食用昆虫スクモムシの形に揚げたもの。伝来当時はスクモムシに米粉を衣としてフライにしました。
4桂心(けいしん)
薬用の肉桂を混ぜて作ったモチ米の餅。三蔵法師のかぶる法冠のような形。
5黏臍(てんせい)
臍(へそ)を黏(なめる)という意味。みじん粉で作った餅に臍の形のくぼみをつけ、油で揚げます。
8ひちら
花弁に似せて平たく薄い円形。モチ米の粉で直径5センチくらいに焼きます。
7ついし
頭を丸く細長くした芋の子のような蒸餅。みじん粉で作った餅を油で揚げます。
8団喜(だんき)
丸い餡入りだんごで「歓喜団」とも言われます。小麦粉で作った今のシューマイのようなだんご。唐菓子の多くは神饌として伝えられましたが、団喜は仏供として残りました。
------果餅------
1ふと 2まがり 3結果(かいなわ) 4捻頭(むぎかた) 5索餅(むぎなわ) 6粉熟(ふづく) 7こんとん 8餅餤(へいだん) 9ほうとん 10魚形(ぎょけい) 11椿餅(つばいもち) 12餅餉(へいこう) 13こめ 14煎餅(いりもち)
11椿餅は、粳米のだんごに甘葛をかけて椿の葉で包んだもの。柏餅や桜餅の先祖です。
13こめは、和名を「於古之古女」(おこしごめ)といい、米に蜜を混ぜ合わせつつ煎ったもの。今の「岩おこし」の先祖。
9ほうとんは薯蕷をすり下ろして米の粉を混ぜてよくこね、めん棒で平たくして長さ6センチに切って豆の汁に浸して食べました。後世のうどんやホウトウの元です。
14煎餅は米あるいは麦の粉を練って焼いたもので、文字どおり「せんべい・おかき」の先祖です。
以上の唐菓子や果餅は粳米や小麦、豆の粉で作られ、塩又は甘葛煎(あまずらせん:ブドウ科のツタの汁を煮詰めた甘味料)で加味され、酢や胡麻なども使われ、油で煎ったものもありました。また、かりんとうも唐菓子のなごりといわれています。
残念ながら唐菓子の形状や製法は一部を除いて後世にあまり詳しくは伝えられず、不明な点も多くあります。しかし、その影響はわが国の菓子の発達に大きく関わっています。